こんにちは。サインにまつわるニュースや豆知識をお届けするメルマガ第2回は、
「サインにおける可読性の重要度」
「筆跡には人間性が表れる?」
といったテーマについてお話したいと思います。
サインといえば、恐らく多くの方が「読めなければダメ」と考えているのではないでしょうか。果たしてその真相や如何に?
W杯でゴールを決めた大迫・乾選手のサインは超シンプル
タイムリーな話題ということで、W杯でゴールを決めた日本代表選手を例にサインの可読性について考えてみたいと思います。
今回のW杯で一番注目を浴びたのでは?と思われる、半端ない大迫選手のサインは、アルファベットのOとKが重なったような非常に筆数の少ないシンプルな形をしています。
ですが、はっきり言ってなんと書いてあるか読めません。
では、ベルギー戦でゴールを決めた乾選手はどうでしょうか?こちらもいたってシンプルで、パッと見3画程度の曲線を組み合わせた記号のようなサインです。
そしてこちらも…読めません。
ですが、それでも彼らのサインはファンにとっては垂涎モノ。なぜなら、読める読めないではなく「選手本人が書いたこと」に大きな意味があるからです。
もうおわかりですね?
実はサインにおいて可読性はそれほど重要ではなく、本人が書いた証明になることが最も大切なのです。
「読めなくてもいいのはスポーツ選手や芸能人だからで、一般人が日常で使うのは無理があるでしょう?」と思った方、それこそが印鑑文化の日本ならではの誤解なんです。
ビジネスなどでも、サインの可読性は問わない
サイン社会の欧米では、可読性の低いサインが日常で普通に使われ充分にその機能を果たしています。念のため国内のカード会社に問い合わせてみたところ、「本人の筆跡の証拠になれば可読性は問わない」という回答を得ました。1本線や2本線など単純すぎるものはセキュリティ上の問題でNGですが、書いた人の個性が明確であれば可読性は重要ではないという見解です。
それでもまだ何となく不安・・・という方は、「米朝首脳会談 署名」のキーワードで画像検索をしてみてください。先月シンガポールで行われた米朝会談における、両国首脳のサイン画像を見ることができます。
トランプ大統領・金委員長のサインは共にかなり特徴的で、それぞれ個性がよく出ています。
ですがやはり・・・読めません(笑)
読めないサインでもあれほど重要な政治の舞台で十分に効力を発揮するわけですから、サインの書体やデザインはいかに自由度が高いかということがお分かりいただけるのでは?と思います。
筆跡心理学を応用して、サインでイメージプロデュース
サインのデザインは自由度が高いということは、アレンジの余地が多分にあるということです。
みなさんは筆跡心理学という学問をご存知ですか?
これは、筆跡に人間性がどのように現れるかを心理学・統計学に基づいて研究・分析した学問です。
「田」の角を丸く書く人は縛られるのが嫌いな自由人、
「大」の2画目を高く突きだして書く人は上昇志向が強い。
など筆跡には書いた人の性格が反映されるのだそうです。確かに、2画目が勢いよく突き抜けた「大」の字からは気の弱いキャラクターを想像しにくいですよね。
「直線はシャープで力強い」
「曲線は柔らかく女性的」
など、私たちは造形からさまざまな印象を受けます。つまりこれを上手く応用すれば、サインを通じて自分の対外イメージをクリエイトできるというわけです。
しかし、サインの持つ力はそれだけではありません。
サインに「なりたい自分のイメージ」を落とし込めば、書く度に理想の自分をリマインドすることにつながるため、仕事へのモチベーションアップ効果も期待できます。
求めるイメージによって線を強調したりフォルムを工夫したりして、自由な発想でサインにアレンジを加えてみてはいかがでしょうか?サインは本人であることの証明であると同時に、自己表現ツールでもあります。
「その人らしさが伝わること」
それが良いサインの大切な条件と私たちは考えています。
株式会社署名ドットコム 総合プロデューサー兼代表
2006年に署名ドットコムを創立し、サインデザインの分野でパイオニアとして活躍しています。著書には『サイン・署名の作り方』があります。