“捺印”から“タブレットペンで手書き電子サイン”の時代へ

最近では、クレジットカードでの買い物や、携帯電話、保険などの窓口での対面契約、宅急便の受け取りなど、日常生活においてタブレットに署名を求められるケースが増えていると思いませんか?

“ペーパーレス化”が叫ばれる今、これまでの“紙の書類への署名・捺印”の代わりに、タブレットにサインをする機会はますます増えていくと思われます。

思ったほどペーパーレス化が進んでいなかった“印鑑文化国、日本”


働き方のスタイルが多様化する中、ここ最近で一気に注目を浴びたのが「テレワーク」「在宅ワーク」ではないでしょうか。新型コロナウィルスによる外出自粛要請の影響で、可能な業種や職種においては多くの人が在宅ワークに移行しているのは皆さんご存知の通りです。

SNS等では「今日からうちの会社も在宅ワーク!」といったコメントが飛び交い、満員電車に乗らなくて済むことや自宅で仕事ができることを喜ぶ声が聞かれる一方で、「うちの会社はシステム上テレワークは無理!」「在宅勤務だけど、捺印が必要な書類があるから出社しなくちゃ…」といったボヤキ的(?)投稿も少なくありませんでした。

事実、日本CFO協会が上場企業の財務最高責任者ら経理・財務幹部577人に行ったオンライン調査では、41%もの人が「テレワーク実施中に出社する必要が発生した」と回答しています。しかも、出社理由の1位は「請求書や押印手続き、印刷など紙データの処理」だとか。

出典:Yahoo!ニュース

テレワーク推奨の副産物として、印鑑文化を背景に持つ日本では思ったほどペーパーレス化が進んでいないという実態があぶり出されてしまったわけです。

テレワークなのに捺印や書類手続きのために出社しなくてはいけない…そんな理不尽さが浮き彫りになった今、オンライン上で契約などの書類手続きが行える「電子契約システム」の需要が急速に高まっています。

電子契約システムのメリットとは?

企業にとって、電子契約システムを導入することには多くのメリットがあります。

(1)時間の短縮化

第一に“時短化”です。例えば取引先や顧客との契約手続きを郵送で行う場合、契約書を郵送したのち署名捺印をして返送…と数日から1週間ほどの時間を要しますが、電子契約であれば遠方のクライアントとも迅速に手続きを進めることができます。

(2)コスト削減

郵送代・紙代・インク代をはじめ印紙税もかからないため、大幅なコスト削減になります。

(3)データ管理がしやすい

電子契約システムを導入する際は、電子契約サービスを提供するプラットフォームを利用します。それらのプラットフォームではデータをクラウドで一元管理するため、管理や検索が容易になり抜けや漏れのリスクも回避しやすくなります。

(4)セキュリティ面の安心

電子契約サービス各社は、改ざん検知機能の搭載や国際規格に対応した情報セキュリティマネジメントシステムの導入など、セキュリティ面には十分配慮しており、その点で紙よりも安全性が高いと言われています。

これらのメリットに加え、2001年に施行された電子署名法により、一定要件満たせばデジタル文書は紙の契約書と同等に法的効力があるとみなされるようになりました。そのため、電子契約システムを導入する企業は年々増加傾向にあります。
企業間契約にとどまらず、銀行、不動産契約、スポーツジムの入会手続きといった日常の身近な場面でも、今後電子契約システムを利用する機会はますます増えていくでしょう。

多くの人が苦戦する“タブレットペンでのサイン”

タブレットにサイン

電子契約システムが普及すれば、必然的にタブレットに署名を求められる機会も増えていきます。ところが、「タブレットペンの書き心地が苦手…」という人は少なくありません。タブレットにサインを求められ、自分の書いた字を見てがっかりした経験がある人も多いのではないでしょうか?

実は、マンガ家やイラストレーターといったタブレットペンを商売道具にしている人たちですら、最初は上手く使えなくて悩む人が多いといいます。自分のペンストロークに合った替え芯やペン軸へのカスタマイズ、ドライバでの筆圧調整、摩擦抵抗の高い保護シートを張る、など“書きにくさ解消”のために様々な工夫をしているというから驚きです。でもそれは、マイタブレットとマイペンだからこそできること。

なので、私たちが「ここにサインをお願いします」とタブレットを出されて、紙に書くのと同じように上手に字が書けなくても無理はありません。
そこで、署名デザインのプロである弊社のデザイナーが発見した、「タブレットペンで字をキレイに書くコツ」をお伝えしましょう。

それは、“筆数を減らすこと”。書体を簡略化してなるべく少ない筆数で一気に書き上げると、比較的キレイに文字を書くことができます。

もちろんお名前の漢字によってはそんなに筆数を減らせないかもしれませんが、興味のある方はぜひ試してみてくださいね。

最後に
印鑑というのは世界でも日本をはじめ一部の地域に限られた独特の文化であり、何もそれ自体が悪者というわけではありません。ですが、現在の社会システムにおける利便性を考えた時、文化とは別にそれに代わるツールを導入することは合理的といえるでしょう。

林 文武
株式会社署名ドットコム 総合プロデューサー兼代表 2006年に署名ドットコムを創立し、サインデザインの分野でパイオニアとして活躍しています。著書には『サイン・署名の作り方』があります。

1件のコメント

  1. 宅配便の受取の際、ヤマトさんは送り状にハンコですが、他の殆どではスマホにサインさせられます。
    ペンを用意してあるのですが、反応しないこともしょっちゅうで、誰が触ったか分からないスマホに指でサインするのは苦痛でしかありません。
    タブレットやスマホの画面に押せるハンコがあればいいのに、と思っています。

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